株式会社SESH(セシュ)は、業務システムと連動するWebサービスの開発や提供を行っています。

「創業・経営革新の20事例が示す成功へのヒント」に掲載されました。

「創業・経営革新の20事例が示す成功へのヒント」に掲載されました。

日本商工会議所発行の「平成22年度創業人材育成事業」活用事例集

「創業・経営革新の20事例が示す成功へのヒント」に掲載されました。

【全文紹介】

オンラインモールの開設や、注文・販売システムの一元化など、ITを活用して地方都市の活性化に貢献する。


事業を営む父親の他界が起業家を目指すきっかけに

大手企業のシステム開発をはじめ、地方の特産品を集めたオンラインショッピングモールの開設、これに連動した顧客店舗独自のECサイト、電話、FAX等の注文・販売管理の一元化などを手がけるSESH(セシュ)。ITインフラの整備が遅れている地方都市にこそ、その恩恵を広めたいと、5年前、生まれ故郷の福岡を離れ、鹿児島の地を踏んだ代表取締役の大塚悟志さんは、今、この街で最も注目される若手起業家のひとりだ。

しかし、大塚さんの起業家への道程は決して平坦ではなかった。きっかけは、43歳の若さで他界したお父様の存在にある。

「工務店を営んでいた父は、営業畑の人で、技術には疎かったんですね。それではダメだと気づき、技術を覚え、自分で仕事を取って、自分でつくるようになり、すべてをひとりで抱え込むようになってしまったのです。休みなく働いた結果、若くして肺がんで亡くなってしまいました。私が高校生の時です」

最期まで仕事に打ち込んだお父様の背中を見て、大塚さんは経営者を志す。しかし、高校生の大塚さんには、何から手をつけたらいいか皆目見当ががつかなかった。まず手に職をつけようと、公立高校を中退、工事現場や飲食店でのアルバイトを経て、17歳で通信制の美容学校で学びながら美容室に勤務した。さらに働きながら定時制高校にも通った。

「ちょうど美容師ブームで活気のある業界でしたが、経営という視点で見ると、美容室は美容師の腕や人気に依存する部分が大きく、難しい商売なんですね。そこで一念発起して、大学に行くことを決意しました」


耳学問や「起業サークル」で、経営センスを学ぶ

目指したのは、難関の九州工業大学。IT事業での起業を目標にしての志願だった。猛勉強の末、見事合格し、22歳で大学生に。大学と大学院での5年間は、情報工学を学び、遺伝子解析などの研究の傍ら、創業セミナーに参加したり、友人たちと「起業サークル」を結成したりして、経営センスを磨いた。

「たとえば、パソコンを部品から仕入れて組み立てたものを、新入生に安く販売し、さらにそのサポートサービスまで手がけたり、私が焼酎が好きなので、同じ趣味の人を集める飲み会を企画し、HPを活用して飲食店のリピーターを獲得する仕組みを提案したり。学園祭では本気でアイデアをひねり、経ち呑みの焼酎バーを出店し、くじ引きに当たると森伊蔵などの高級焼酎がグラス1杯300円で飲めるサービスを提供して、学園祭ながら行列ができる繁盛店をつくり上げたり。起業に向けていろいろな経験を積みました。でも当時から、あくまでも、都会ではなく、ITの恩恵を十分にうけていない地方都市でビジネスをしたいと考えていましたね」


地方都市の中小企業にITの利便性を広めるために

こうして起業の場として選んだのが鹿児島だった。大学時代からの友人で、現在は共同経営者である川田誠一郎さんが鹿児島出身だったことに加え、地元での商売は甘えが出ると、自らを試す意味で未知の地を選んだのだ。手始めに多角経営に取り組む酒造メーカーに自らを売り込み、飲食店のマネージャーとして採用されると、調理から仕入れ、パートの管理までを一通り手がけた。次に営業力を養うため建築営業に転身して、飛び込み営業を経験、さらに専門性を磨くためにIT企業に就職して、システムエンジニアとしてWebシステムの開発に3年ほど携わった。

そしていよいよ29歳のとき、霧島市のインキュベーター(上野原ビジネスプラザ)で個人事業を立ち上げる。当時、元手はパソコンだけだったが、以前の就職先の仕事を引き継ぐかたちで大手メーカーの社内システム開発の仕事を受注でき、好調なすべり出しだった。

「とはいえ、鹿児島は保守的で横のつながりがないとビジネスがしにくい。そこでビジネスパートナーを見つけるために、創業塾に参加したのです。ビジネスの基礎を学べたほか、人脈づくりにも大いに役立ちました」

翌2008年に法人化して株式会社SESHを設立。当時、大手電気メーカーに勤めていた川田さんとともに、システムをゼロから構築して、複数商品の組合せを自由に選べるセレクト方式を取り入れた。独自送料計算など柔軟なシステム拡張が可能なこともあり、評判が広まっていった。10年6月には独自のオンラインショッピングモール「鹿児島Web市場」を開設、足繁く地元企業に通って出店を呼びかけた。

「特徴的なのは、当社のモールと顧客のネットショップのECサイトを連動させ、各店共通のポイント制度を設けた点です。また、商品の組み合わせだけでなく、送料や箱代の計算など、煩瑣(はんさ)な注文管理をすべて一元化したことで、お客様の業務を簡便化しました」

中小企業などでは、サイバーモールやECサイト、電話・FAXによる販売、卸向けのシステムがそれぞれ異なっており、管理を個別に行う必要があった。営業回りをするなかで、システムを一元化できないかという顧客の意見を聞くことが多かったという。

「よく、ネットショップの担当者が辞めてしまったので困っているという相談を受けます。システムを一元化すれば、引き継ぎも楽です。これからも、お客様が本当に望んでいるシステムを提供していきたいと思っています」

現状は請負のシステム開発が忙しく、営業をかけていないのが、口コミで評判が広がり、独自開発のネットショップシステムを利用する企業が増え続けている。10年度には鹿児島市が斬新な経営モデルの事業化を支援するニュービジネスプランコンテストで大賞も受賞した。今後の展開が大いに楽しみだ。